風薫る
実は、花冠が入るくらい大きい袋も持ってきているらしい。


じゃあ安心だね、と言って、俺も少し移動してしゃがんだ木戸さんの隣にしゃがみ込む。


「花冠ってどうやって作るの?」


やり方が分からなくて聞くと、ええとね、と木戸さんはシロツメクサを二本手折った。


器用に結びながら一本ずつ丁寧に足していく。


シロツメクサを軸にしているのは、茎がしなやかで折れにくいからだとか。


別の花も混ぜながら、豪華な輪を小さく一つ、あっという間に作った。


色の配置が綺麗だ。……女子だなあ。


「上手いね」

「そうかな。ありがとう」


あれで分かった? と聞かれ、多分、と不安ながらシロツメクサを手折る。


こう通します、とか解説はあったし、ゆっくりやってくれたし、基本繰り返しだから何とかなると思うけど、何分初めてだからなあ。



「分からなかったら聞いてね」

「うん。ありがとう」


木戸さんはこちらを見ていることに決めたらしい。

緊張する。


色のセンスはないので、無難に全部シロツメクサで作ることにした。


とりあえず見よう見まねで結んでみたけど、なかなか難しい。


何本か駄目にしつつ、倍の時間をかけてやっと完成させた輪は、よれて不恰好だった。
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