イジメ.COM
だけど菜々花の母親は何も知らされていない様子だった。


「《イジメ.com》の事は口外できない。だから施設のことも、誰も説明してないのかもしれないな」


あたしの考えをくみ取ったように蓮が言った。


「そんな……」


「心配しなくても、それなりの対処は学校側が取ってるハズだ」


学校について教室へ入っても、菜々花の姿はどこにもなかった。


まさか、本当にもう施設に連れて行かれたんだろうか?


あたしたちは職員室へ向かい、立石先生を呼んだ。


「先生、菜々花はどこに行ったんですか?」


朝の挨拶もなしにそう訊ねたあたしに、立石先生は苦笑いを浮かべた。


「清原はミッションを失敗してしまったから、約束通り施設に行ってもらった」


「そんな、こんなに早く連れて行かれるんですか?」


「仕方ないんだよ。早く行って早く帰って来るほうが本人にとっても良い事なんだ」


「でも、菜々花の親は何も知らない様子でしたよ?」


蓮が聞く。


「あぁ。今はまだなにも説明していないからな。だけどお前たちが心配するような事はなにもない、学校側がちゃんとするから」


立石先生は呆れたようにそう言った。
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