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そう思っていると、朱音を押しのけるようにしてクラスメートの嵐雄太郎(アラシ ユウタロウ)が入って来た。


そこまで目立つ生徒じゃないけれど、玲央と同じ中学出身だと聞いたことがある。


「おはよー雄太郎」


押しのけられた朱音がわざとらしいくらい大きな声で挨拶をする。


雄太郎はビクリと身を震わせて立ち止まった。


「おはよう……」


それだけ言って自分の席へ向かおうとする雄太郎を、朱音は止めた。


「雄太郎って玲央と結構仲良かったよねぇ?」


「……別に」


「そう? 休みの日に時々外であんたたち2人を見かけたよ? 残念だよねぇ、友達が事故で重体だなんてさぁ」


朱音の言葉に雄太郎は見る見る青ざめて行く。


まさか、ミッション……?


そう考えるが、由梨の前でそれを聞く事はできなかった。


雄太郎は何も言わず、逃げるように自分の席へと向かった。


「車でひくなんて結構やるよね。入院してたんじゃ、確かに学校に来られないしね」


朱音はあたしにしか聞こえない声でそう言い、クスッと笑ったのだった。
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