Sweet Love
あまりにも小さな声だったので、ちゃんと聞き取れなかった。わたしは、集中して耳を傾けた。
「……その、…上手く言えないけど、がんばれよ」
こちらの視線を外しながら萩原くんは言った。
「……うん、頑張る」
よく見ると、彼の耳はほんのり赤くなっていた。
…な、何で?
わたしは内心で首を傾げる。
「さあーて、食べ終わったし手洗いに行こうかなあ。牧原、あんたも行くよ!」
「え、俺も?」
「だってあんた、もう食べ終わってるじゃん。約束の漫画、持ってきてるんでしょうねえ?」
「…持ってきてるよ。貸すから帰ってから見れば」
「イヤ。今すぐ、すぐ見たい!」
「…わかったよ。したら行くぞ」
軽い口論のあと、裕子と牧原くんがベンチから立ち上がった。
「じゃあ、先に戻ってるねっ」
「うん…」
そう言って、二人は屋上から出て行った。置いてけぼりを食わされたのは初めてだ。
嵐が去ったあとみたいな静寂の中、お弁当に視線を戻すと、視界の端で萩原くんの膝が目に入った。わたしはそこで漸くこの状況を理解した。彼と二人きりだということだ。
――裕子、まさか……わざとわたし達を二人きりにさせたんじゃ…。
「……その、…上手く言えないけど、がんばれよ」
こちらの視線を外しながら萩原くんは言った。
「……うん、頑張る」
よく見ると、彼の耳はほんのり赤くなっていた。
…な、何で?
わたしは内心で首を傾げる。
「さあーて、食べ終わったし手洗いに行こうかなあ。牧原、あんたも行くよ!」
「え、俺も?」
「だってあんた、もう食べ終わってるじゃん。約束の漫画、持ってきてるんでしょうねえ?」
「…持ってきてるよ。貸すから帰ってから見れば」
「イヤ。今すぐ、すぐ見たい!」
「…わかったよ。したら行くぞ」
軽い口論のあと、裕子と牧原くんがベンチから立ち上がった。
「じゃあ、先に戻ってるねっ」
「うん…」
そう言って、二人は屋上から出て行った。置いてけぼりを食わされたのは初めてだ。
嵐が去ったあとみたいな静寂の中、お弁当に視線を戻すと、視界の端で萩原くんの膝が目に入った。わたしはそこで漸くこの状況を理解した。彼と二人きりだということだ。
――裕子、まさか……わざとわたし達を二人きりにさせたんじゃ…。