Sweet Love
 そのとき、牧原と目が合う。



「え、何、アイスまだ食べたいの?」

「は? 違うしっ!」



 それじゃあ、あたしが欲張りみたいじゃん…。

 ただ、カップを覗いただけだってば。



「…ていうか、明日こそ貸した漫画返せよ。萩原、早く読みたいんだってさ」

「だってあれ重いんだもん。二冊ずつでもいい?」



 この間、牧原に漫画を借りていたあたしは「読み終わったから返す」って言っておきながら、なかなか返せずにいた。借りた漫画はシリーズ物の全部で二十冊ある。借りたとき、よくあんな重たい漫画を一人で持って帰れたなあってつくづく思う。



「いいけどさ、今度こそ忘れるなよ」

「わかった」



 心の中では、貸す相手が萩原なら別に返すの延ばしたっていいやって思ってる自分がいる。


 その頃、テーブルを挟んだ向かい側に座っている麗美と萩原は、さっきからこちらを見てにやにやと笑っていた。
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