Sweet Love
「うん、誠二先輩」

「……そんなに好きなら、じゃあ今から兄ちゃん連れてくる?」

「えっ。いいの!?」



 あたしは興奮を抑えきれず、飛び上がった。



「う…うん、いいよ。あ、待って。今メールしてみるから」

「うんっ」



 そう言った麗美はブレザーのポケットから薄いピンク色の携帯を取り出し、カチカチと文字を打ち始めた。


 その間、あたしは空になった缶ジュースを、真横にあるゴミ箱に捨てる。


 すぐにポケットから小さな折りたたみミラーを取り出して、長いロングの髪を手櫛で丁寧に梳く。



「裕子、送っといたよ。すぐ返信きて、『了解』だって。多分すぐ来るよ」

「あーー! ドキドキするっ」



 あたしは手の平を心臓に当てた。確かに、鼓動の速さを感じる。ドキドキしてる証拠だ。



「麗美。誠二先輩って、彼女今いないよね?」

「…うん。多分いないと思う。家には女の子連れてくること滅多にないし…。わたしが知る限り、女の子の影は感じないかな」

「そ、そうなんだ。誠二先輩のタイプってどんなんだろう…」

「それは、わたしにもわかんないなあ…。今来るんだから、本人に直接聞いてみたら?」

「…そうだよね…。あ…」



 視界の先で、校庭の入口から背の高い美男二人が、こちらに向かってくるのが目に入った。
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