Sweet Love
***
お昼休みが終わる頃、萩原くんは既に教室に戻って来ており、席に着いていた。
わたしは自分の席に着いてから、首だけ動かして後ろに振り向いた。特にこれといって変わった様子は見られない。萩原くんは何事もなかったかのように、淡々と次の授業の準備を進めていた。
「…っ!」
無意識に見つめ続けていたせいか、萩原くんと目が合ってしまった。
「え、何だよ……」
わたしは反射的に萩原くんから目を逸らす。軽く頭を振って、わたしは言った。
「…ううん。なんでもないよ」
「ふーん…」
告白されたはずなのに、見た目にはこれといって変化がない。告白されたあとの男の子の反応って、こういうものなのだろうか。見る限り、冷静でいて、いつもと何ら変わらない。
わたしは先ほどの告白の結果を気にしている。それはわかっていた。――ただ、気になっているだけだ。わたしは、ただそれだけのことなのだからと自分に言い聞かせる。
そのあと、授業を受けていてもそればかり考えてしまい、授業内容も全然頭に入らなかった。
***
あれからあっという間に時間は過ぎていき、いつの間にかホームルームが終わっていた。
その放課後。わたしは日直だったということもあって教室で日誌を書いていた。萩原くんもわたしと同じ日直担当であり、今は黒板を拭いているところだった。
――萩原くんの背中って、よく見たら結構広いなあ…。
後ろの席だからあまり背中なんてじっくり見る機会がない。萩原くんの背中をこうしてじっくり眺めるというのは何だか新鮮だった。
「――石田、こっちは終わったよ。日誌、書き終わった?」
「あ、ごめん。あともうちょっとかな」
とは言うものの正直言ってあまり進んでいない。
「そっか」
萩原くんは黒板の方からこちらに向かって歩いてきた。椅子を動かすことなく体をこちらに向けた状態で裕子の席に座る。彼はわたしの机に片手で頬杖をついた。
萩原くんは日誌に目線を落とす。
「……って全然進んでないじゃん。ちょっと見せて」
萩原くんは前から覗き込むようにして顔を傾ける。顔が近付いて来るとわかった瞬間、わたしの心臓は膨れ上がった。
お昼休みが終わる頃、萩原くんは既に教室に戻って来ており、席に着いていた。
わたしは自分の席に着いてから、首だけ動かして後ろに振り向いた。特にこれといって変わった様子は見られない。萩原くんは何事もなかったかのように、淡々と次の授業の準備を進めていた。
「…っ!」
無意識に見つめ続けていたせいか、萩原くんと目が合ってしまった。
「え、何だよ……」
わたしは反射的に萩原くんから目を逸らす。軽く頭を振って、わたしは言った。
「…ううん。なんでもないよ」
「ふーん…」
告白されたはずなのに、見た目にはこれといって変化がない。告白されたあとの男の子の反応って、こういうものなのだろうか。見る限り、冷静でいて、いつもと何ら変わらない。
わたしは先ほどの告白の結果を気にしている。それはわかっていた。――ただ、気になっているだけだ。わたしは、ただそれだけのことなのだからと自分に言い聞かせる。
そのあと、授業を受けていてもそればかり考えてしまい、授業内容も全然頭に入らなかった。
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あれからあっという間に時間は過ぎていき、いつの間にかホームルームが終わっていた。
その放課後。わたしは日直だったということもあって教室で日誌を書いていた。萩原くんもわたしと同じ日直担当であり、今は黒板を拭いているところだった。
――萩原くんの背中って、よく見たら結構広いなあ…。
後ろの席だからあまり背中なんてじっくり見る機会がない。萩原くんの背中をこうしてじっくり眺めるというのは何だか新鮮だった。
「――石田、こっちは終わったよ。日誌、書き終わった?」
「あ、ごめん。あともうちょっとかな」
とは言うものの正直言ってあまり進んでいない。
「そっか」
萩原くんは黒板の方からこちらに向かって歩いてきた。椅子を動かすことなく体をこちらに向けた状態で裕子の席に座る。彼はわたしの机に片手で頬杖をついた。
萩原くんは日誌に目線を落とす。
「……って全然進んでないじゃん。ちょっと見せて」
萩原くんは前から覗き込むようにして顔を傾ける。顔が近付いて来るとわかった瞬間、わたしの心臓は膨れ上がった。