Sweet Love
「それじゃあ、一応熱測ってみてね」

「ハイ」



 あゆみ先生から体温計を受け取り、あたしは言われるがまま熱を測る。


 数分後、電子音が鳴り、奥からカーテンを捲ったあゆみ先生が、体温計を確認しに戻って来た。



「うーん、熱はないみたいね。少し、そのまま眠って様子見ましょう」

「…ハイ」



 再びカーテンが閉じられるのを見たあたしは、そのまま瞼を閉じた。


 しばらく経って授業の終わりの鐘が鳴り響くと、熟睡していたあたしは一気に意識を取り戻し、パッと目を覚ました。


 あゆみ先生のサンダルの歩く音が聞こえる。


 こっちに様子を見にくる――と思ったらこちらではなく、隣りのベッドのカーテンを開く音がした。



「石田くーん、きっちり一時間経ったけど、どう? 次の授業は行けそう?」



 え…。イシダくん?

 ……誠二先輩!?



 あたしの目が一気に冴えた瞬間だった。



「はい。大分寝たので大丈夫です」



 声を聞いた瞬間、あたしの中で誠二先輩だ、と確定される。



「もうー、寝不足とか夜遅くまで何してるの。いつも」

「最近テスト続いてるんで。受験生は色々と大変なんっすよ、センセ」



 寝不足…かい…。



「大変なのはわかるけど、寝ないと体に毒よ、石田くん」



  あゆみ先生の言っていることは最もだと思う。
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