Sweet Love
「…あれ? 隣、いつの間に増えたんですか、センセ」

「ああ、うん。さっき、一年生の子がね」

「一年生っすか」



 あたしは何を思ったのか、布団からガバッと起き上がると、カーテンの隙間に向かって身を乗り出した。



「誠二先輩!」



 誠二先輩とあゆみ先生は、唖然とした顔で口が半開き状態になっている。



「……裕子さん?」

「…松田さん、大丈夫?」

「…は、はい」



 やば、何やってるんだろ、あたし。



 あまりの不甲斐なさに、顔が熱くなってくる。やらかしてしまったと、自分を恥じた。



「松田さん、もう体調は大丈夫なの?」

「いえ、そうでも、ない、…です」



 何故かぎこちない喋り方になってしまい、誠二先輩が途端にぶはっと噴き出してしまった。



「それじゃあ、次の授業も休んでて。ちょっと職員室行ってくるから」



 にっこりと笑顔を向けたあゆみ先生は出て行ってしまい、保健室にはあたしと誠二先輩だけが取り残されてしまう。



「具合悪いの?」



 誠二先輩は保健室の中央にある、ソファーの後ろに両手で支えながら寄り掛かった。あたしは未だベッドの上で正座した状態で、カーテンが開いた隙間から誠二先輩と顔を合わせる形になる。



「はい、ちょっとだけですけど」

「風邪?」

「多分、そうだと思います」



 どうしよう。顔の熱が止まらない。熱と共に、あらゆる血管の脈が波打つのを感じた。
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