Sweet Love
「はい、歳上なんです。同じ高校の先輩で…」

「歳上かあ。いいわね、そういうの」



「ちょっと! 青春じゃなーい」とテンションの高い声を出して、愛香さんに背中をバシっと叩かれたあたしは、思わず苦笑した。



「ちょっとスタイリング組んでみるわね。何か希望があったら言ってみて?」

「…えっと、あんまりフリフリしたのは苦手なんです」



 そう言うと愛香さんは、あたしの身体を顔からつま先までじっと舐めるように見てきた。



 え、何か変なこと言っちゃったかな…。



 あたしの心の中で、一気に不安の波が押し寄せてくる。



「…あなた、ひょっとして露出度高いの苦手じゃない? いつもこんな感じのスタイル?」



 愛香さんが、あたしの身体を下から上へと指を差す。



「え、…はい。いつもパンツなんです。露出高いのは苦手というか抵抗がありまして…。え、それよりどうしてわかったんですか?」



 そう。あたしは、露出にはどうも抵抗があるのだ。


 人前で露出するのも勇気ないし、恥ずかしいという思いに縛りつけられていた。


 制服は当然女子だからスカートで、紺ソックス指定されてるから、膝とわずかな肌の面積しか出ないし、まだマシな方だからもう慣れたけれど、私服となれば別の話になる。私服で短いスカートを履いたり、肩出したり、胸元が少しでも開いているブラウスなんてもっと無理だった。



「あなたを見ればわかるわよ。どう? 新しい自分に挑戦してみたくない?」



 まるで新しい自分に出逢いたくない? と言われているような気がして、あたしは、新しい自分に変われるなら変わりたい、とそう思った。


  気が付けば、あたしは「はい!」と元気な声で返事をしていた。
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