Sweet Love
「昨日は、結構楽しかったよ。海鮮丼食べる前に映画も観に行ったしね」



 ――まあ、あたしは寝てたから映画見たうちに入らないんだけどね…。



「兄ちゃんと、映画観に行ったの!?」



 麗美がガタっと音を上げ、身を乗り出しながら話しに食いついてきた。



「う、うん」

「…なんか映画見に行って、そのあとにご飯食べに行くのって…ちゃんとしたデートみたいになってるね。兄ちゃん、なかなか、…積極的」



 …やっぱり脈ありなのかな、と思いつつ、会話を続ける。



「映画って言ってもSFだったけどね」

「SFかあ。兄ちゃん、SF結構好きなんだよー。なんか見てると自分もその世界に入り込んでるような感覚があるんだって。…よくわかんないよね」

「…へえ」



 あたしはSF映画は話が長いから苦手。それに等しく、字幕版も苦手だ。


 字幕だと字に集中しすぎて、肝心の映像をちゃんと観れない。そのためか、字幕版の洋画を見ると、必ず眠気があたしを襲う。


 眠ってしまったことは麗美に内緒にしておこうと思い、あたしは無理矢理話題を切り変えた。



「あ、そうそう。ちなみに昨日、誠二先輩と麗美の話もしたよ」

「え、何か言ってた?」

「秘密」

「ちょっと教えてよー!!」



 麗美に少しケチりながら、あたしはなんとなく視線を後ろに投げた。



 あれ。

 今、一瞬牧原と目が合ったような。

 気のせいかもしれないけど、ちょっと軽く睨まれたような…。



 牧原は、萩原との会話を終えたのか、そのまま自分の席へと戻って行った。
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