Sweet Love
 我が校は、近いうちに長距離マラソン大会を全学年控えているため、体育の授業は今週から練習に入ることになった。


 今日は、午前から学校の近くにある川沿いを走らなくてはならない。


 本番では女子は6km。


 男子は10kmも完走しなくてはならなかった。


 全学年合同というなんとも大掛かりなひとつのイベントでもある。


 クラスのみなが体操着姿になり、列になって、川沿いまで歩いて行くこと一五分。


 長距離マラソンなんて大嫌いだし、おまけに走るの苦手だし、憂鬱になってくる。暑さのせいもあるのか、気が重くなった。あたしは、ダラダラとみんなの列の後ろを並びながら歩いていた。



「暑いー。こんな暑い中で、走るなんてイヤだあ」



 髪をキリッと一本に束ねているけど、実は全くやる気がない。



「裕子。でもちゃんと走らないと本番辛くなっちゃうよ?」



 麗美は、…ちゃんとやる気あるみたいね。



「どっちにしても、この暑さでもう辛いよ…。あ、日焼け止め塗って来ればよかった。失敗した…」

「二時間走ったくらいでそんなにすぐ日焼けしないよ。大丈夫、大丈夫!」



 こんなに太陽出てるのに、焼けないわけがない。現に今、あたしの腕と脚を太陽の強い陽射しが容赦なく照らし続けている。


 こうしてる間にも、肌はかなりの紫外線を浴びてダメージを受けているのかも知れないのに…。


 ちょっと心の中で麗美にツッコミを入れながらあたしは更にやる気を失くしてしまい、トボトボと重い足取りで歩き続けた。
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