Sweet Love
第7章
体育の授業は決まったように塗り潰されて長距離マラソンの練習の日のこと。
今日もうちのクラスは川沿いで走り込み。
昨日とは一変して、グレー色の空の下で、あたしは一人で黙々と走っていた。
じめっとした湿気で、余計に肌がベタつく。
相変わらず呼吸も続かなくて、身体はついて行けず、もうヘトヘトの状態だった。
後ろから男子が次々と通過していく中、聞き慣れた声が突然耳に入ってくる。
「松田」
走りながらあたしの横に付いた牧原は余裕な表情を見せていた。
「…まきっ、はら」
「なに、喋れないの?」
「うん。く、苦しいから話し掛け、…ないでよ」
「苦しいってことは、自分の呼吸法が悪いんだって」
「呼吸法?」
徐々にスピードを緩め、次第に足を止めると、牧原も自然に走るのを止めた。
「うん。リズムをつけて走らないとマジ完走できないって。まずいんじゃない?」
牧原の額にはうっすらと汗が滲んでいる。きっとこの蒸し暑さのせいだろう。
「え、どうやってリズムつければいいの?」
「教えて欲しい?」
牧原は少し意地悪な顔をしてニヤリと笑った。
「…教えて」
「じゃあ、走って。呼吸の仕方は吸う、吸う、吐く、吐く。これをテンポよく意識しながら走ってみて」
牧原と走りながら、言われた通りに試してみた。
吸って、吸って、吐く、吐くを何度か繰り返してみると、不思議と今までよりは息切れしなくなっていて苦しくはなかった。
「どう?」
「大分、楽になった、かも。ありがと、牧原」
「でしょ? あとは最初からスピード上げないようにして、後半巻き上げればいい」
そのあとも、腕をしっかり振れだのなんだのと、牧原からの指導は続いた。
今日もうちのクラスは川沿いで走り込み。
昨日とは一変して、グレー色の空の下で、あたしは一人で黙々と走っていた。
じめっとした湿気で、余計に肌がベタつく。
相変わらず呼吸も続かなくて、身体はついて行けず、もうヘトヘトの状態だった。
後ろから男子が次々と通過していく中、聞き慣れた声が突然耳に入ってくる。
「松田」
走りながらあたしの横に付いた牧原は余裕な表情を見せていた。
「…まきっ、はら」
「なに、喋れないの?」
「うん。く、苦しいから話し掛け、…ないでよ」
「苦しいってことは、自分の呼吸法が悪いんだって」
「呼吸法?」
徐々にスピードを緩め、次第に足を止めると、牧原も自然に走るのを止めた。
「うん。リズムをつけて走らないとマジ完走できないって。まずいんじゃない?」
牧原の額にはうっすらと汗が滲んでいる。きっとこの蒸し暑さのせいだろう。
「え、どうやってリズムつければいいの?」
「教えて欲しい?」
牧原は少し意地悪な顔をしてニヤリと笑った。
「…教えて」
「じゃあ、走って。呼吸の仕方は吸う、吸う、吐く、吐く。これをテンポよく意識しながら走ってみて」
牧原と走りながら、言われた通りに試してみた。
吸って、吸って、吐く、吐くを何度か繰り返してみると、不思議と今までよりは息切れしなくなっていて苦しくはなかった。
「どう?」
「大分、楽になった、かも。ありがと、牧原」
「でしょ? あとは最初からスピード上げないようにして、後半巻き上げればいい」
そのあとも、腕をしっかり振れだのなんだのと、牧原からの指導は続いた。