Sweet Love
 何だかこの二人を見てると全然飽きない。



「二人ともいつもあんな感じなんだよ。本当に仲が良いよね?」



 優希先輩がその光景を見ながら、笑って言った。



「…そうですね」



 あたしも一緒になって笑って見ていた。



 それにしても、誠二先輩のエプロン姿…。

 思わずうっとりと溜め息が出ちゃうくらい、本っ当に素敵すぎる。

 ヤバい、目がハートになってしまう。



 そのとき、不意に脳裏で牧原の顔が浮かんできて、あたしは激しく頭を振った。



 …牧原、出てくんなっ。



 さっきの図書室でのキスを鮮明に思い出し、顔が火照っていくのが自分でもわかった。手の平で両頬を隠しながら、あたしは無理矢理それを頭の隅へ追いやる。



「裕子ちゃん? 大丈夫?」

「は、はい!」



 誠二先輩も優希先輩も近くにいるっていうのに、あたしってば何を考えてるんだ。


 少しだけ自己嫌悪に浸りつつ、再びキッチンに目をやった。


 麗美と誠二先輩は未だ言い争っていた。だけど誠二先輩は、なんだかんだちゃんと手を動かしている。


 あたしはソファーから立ち上がり、二人に近寄った。



「あの、わたしも手伝いましょうか?」

「いいよいいよ、裕子。今日は兄ちゃんが作る日って決まってるんだから」

「…心配無用だ。座って待ってて」

「…わかりました」



 二人いっぺんにそう言われてしまったので、あたしは渋々ソファーへと戻った。
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