Sweet Love
 ベンチに辿り着いたわたし達四人は、自然にわたしと裕子でひとつのベンチに座り、そしてもう一方のベンチには、牧原くんと萩原くんで座る形となった。


 両膝の上にうさぎ柄のお弁当包みを広げると、ピンク色のお弁当が現れる。


 蓋を開くと彩りのいいおかずと、小さめのおにぎりがふたつ並んで入っていた。


 ……美味しそ。


 わたしの食欲はピークに達し、箸入れを手に持つと、それを取り出そうとした。


 すると、膝に乗せていた大変貴重であるお弁当が、地面にカランカラン、と虚しい音を立てて、崩れ落ちてしまう。落ちる瞬間から、わたしの手の動作はもう既に固まっていた。



「あ……」



 どうやら、両膝のバランスを崩してお弁当を落としてしまったらしい。


 裕子も萩原くん達もそれに気付いて、わたしの落ちたお弁当を見ながら、わたしと同様、しばらく固まっていた。


 裕子は重い口調で言う。



「…大丈夫? 麗美…」

「……あはは。…何やってるんだろっ、わたし」



 三人が、わたしを哀れむような目で見てくる。


 三人の注目の的になってしまったわたしは、あまりの恥ずかしさに、この場から逃げ出したいという衝動に駆られた。
< 23 / 199 >

この作品をシェア

pagetop