Sweet Love
 ――思い返してみると、確かに裕子の言う通りかも知れない。二人で登校しているところとか、手を繋いで一緒に帰ってるところしか、今まで見たことない。それに、学校の中で二人が一緒にいるところをまだ一度も目撃したことがなかった。


 もし中学生とかだったら、みんなの前じゃ恥ずかしいから、…とかなるかもわからないけれど…。今時のだいたいの高校生なら普通……堂々としてると思う。多分――。



「…確かに。そう言われてみれば、学校にいるときはほぼ俺と一緒だよな。休み時間も普通に男同士グラウンドで遊んだりするし」

「あの二人ってさ、休みの日とかどうしてんのかな。ちゃんとデートしたりしてるのかな?」

「うーん…わたしはそこまでわかんない。あまりそういう話はしないから…」



 裕子に言われるまで、そんなことなんて全然気にしていなかった。



「俺も…知らない。時々、俺の家か萩原の家でゲームして遊んだりすることはあるけど。まだ、あんまり恋愛話はしたことないからなぁ」

「…そうなんだ」

「――あっ! そうだ!」



 裕子がいきなり何かを思い付いたのか、急に大声を上げ、ポンっと握り拳を手のひらに叩いた。



「…ど、どしたの。急に」
「…何だよ、いきなり…」



 わたしと牧原くんは心臓に手を添え、ビビりながらほぼ同時に声をハモらせた。
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