Sweet Love
「…はい、もしもし」

『もしもし。お前、今学校か?』

「うん、まだ学校。何で?」

『今日、母さん残業で遅くなるらしい。だから今日の当番お前な』

「え、何でわたしなの」



 いい迷惑だと思った。



『俺は今日、優希と約束してるからな。うちで宿題やることになってるから』

「…そっか。優希さんも、ご飯うちで食べる感じ?」

『ああ。だから早めに買い出し行って真っ直ぐ帰って来い』

「…うん。わかった」



 話を終えたわたしは通話終了ボタンを押す。



「何か用事でもできた?」

「あ、…うん。兄ちゃんが買い物して早く帰って来いって。ごめんね。わたし、やっぱり今日はついて行けないや」

「…そっか」

「仕方ないよ。じゃあ俺らだけであいつらの後つけるか」

「えーー。あんたと?」



 裕子は、如何にも嫌そうな顔で牧原くんを見上げた。



「しょうがないだろ。麗美ちゃん用事入ったんだから」



 牧原くんは、出入り口に向かって強制的に裕子の背中をズルズルと押し出す。



「ちょっ、何すんのよ! もっ…麗美、明日学校でね!」

「じゃあね、麗美ちゃん!」

「うん、バイバイ」



 わたしは苦笑しながら、裕子と牧原くんの後を見送った。
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