Sweet Love
***
自宅近くのスーパーに立ち寄ると、夕方のせいなのか、全体的に混雑していた。
買い物カゴを持ちながらわたしは野菜売り場を見て回る。優希さんは興味深そうに野菜をじっくり見ながらもわたしの後ろをついてきていた。
――今日は何にしようかな…。
兄ちゃんも優希さんも結構食べるだろうし…。
…鍋とか?
…ううん、ないない。
わたしは内心で頭を振る。
鍋は却下だ。冬場ならともかく、暑くなってしまう。
せっかく優希さんが一緒に居るのだから、なんなら優希さんにリクエストしてもらおう。
「優希さん」と、わたしは声を掛ける。
「何?」
優希さんはわたしの横に移動して首を傾げた。
「何か食べたいってものあったら言ってみて下さい。今日、わたしが作るので」
「うーん…そうだなあ…」
優希さんは、しばし顎に手を当てながら悩んでいる様子だった。
「――うーん……カレーが食べたいな」
「カレー…ですか?」
「うん。カレーライス」
「そしたら今日はカレーにします!」
わたしは野菜コーナーを回り、素早く買い物カゴの中に材料を移していく。
お肉は家に沢山あるからいいとして、あとは…カレーのルーだ。
ルーを買い物カゴの中に入れたわたしは、カゴの中を再確認した。
――にんじんでしょ、たまねぎでしょ、そんでもってじゃが…、――ない…。
「優希さん、入れ忘れがあったのでもう一回野菜売り場の方に行って来ます」
「じゃあ僕、お菓子売り場のところ見てるね」
「はい」
わたしはもう一度、野菜売り場に戻ろうと歩き出した。
じゃがいもを忘れてしまったことに内心で小さく幻滅しながらも、わたしはじゃがいもコーナーの前に立つ。
袋詰めされたじゃがいもを手に取り、ふと顔を上げると――。
よく知っている制服を着た一組のカップルが、わたしの真横を通り過ぎて行った。
自宅近くのスーパーに立ち寄ると、夕方のせいなのか、全体的に混雑していた。
買い物カゴを持ちながらわたしは野菜売り場を見て回る。優希さんは興味深そうに野菜をじっくり見ながらもわたしの後ろをついてきていた。
――今日は何にしようかな…。
兄ちゃんも優希さんも結構食べるだろうし…。
…鍋とか?
…ううん、ないない。
わたしは内心で頭を振る。
鍋は却下だ。冬場ならともかく、暑くなってしまう。
せっかく優希さんが一緒に居るのだから、なんなら優希さんにリクエストしてもらおう。
「優希さん」と、わたしは声を掛ける。
「何?」
優希さんはわたしの横に移動して首を傾げた。
「何か食べたいってものあったら言ってみて下さい。今日、わたしが作るので」
「うーん…そうだなあ…」
優希さんは、しばし顎に手を当てながら悩んでいる様子だった。
「――うーん……カレーが食べたいな」
「カレー…ですか?」
「うん。カレーライス」
「そしたら今日はカレーにします!」
わたしは野菜コーナーを回り、素早く買い物カゴの中に材料を移していく。
お肉は家に沢山あるからいいとして、あとは…カレーのルーだ。
ルーを買い物カゴの中に入れたわたしは、カゴの中を再確認した。
――にんじんでしょ、たまねぎでしょ、そんでもってじゃが…、――ない…。
「優希さん、入れ忘れがあったのでもう一回野菜売り場の方に行って来ます」
「じゃあ僕、お菓子売り場のところ見てるね」
「はい」
わたしはもう一度、野菜売り場に戻ろうと歩き出した。
じゃがいもを忘れてしまったことに内心で小さく幻滅しながらも、わたしはじゃがいもコーナーの前に立つ。
袋詰めされたじゃがいもを手に取り、ふと顔を上げると――。
よく知っている制服を着た一組のカップルが、わたしの真横を通り過ぎて行った。