Sweet Love
わたしは頷いて、兄ちゃんにお茶が載ったお盆を手渡した。
なのに、兄ちゃんはまだ用があるのか、じっと黙ったままこちらを見つめてくる。
「な、何?」
「…いや、なんでもない」
兄ちゃんはリビングの扉を開けて廊下に出ると、こちらに振り返った。扉からひょっこりと顔だけ出して、兄ちゃんは言う。
「お前さ、なんか面白くないことあるんなら遠慮せず俺に言えよ」
……はい?
面白くないことって何…。
訳がわからない。
わたしは首を傾げた。
「どういう意味?」
「まあ、俺じゃなくてもいいし、母さんでもいいし。んー…、簡単に言うと、もっと人に頼れってことだ」
「……」
兄ちゃんはそのまま、リビングを出て行く。わたしは何も返せず、しばらく立ち尽くしていた。
***
わたしがカレーを煮込んでいると、優希さんと兄ちゃんが二階から下りてきた。
「美味しそうなカレーの匂いするから、待ちきれなくて来ちゃった」
「優希、こいつが作ったカレーにはな、きっと毒入ってるぞ」
「兄ちゃん、うっさい!」
「食ったら、死ぬぞ?」
「兄ちゃん!」
わたしは、兄ちゃんを力いっぱい冷たい目で睨んだ。
「ひ、ひどいね、誠二」と、優希さんは苦笑を浮かべる。
「あの優希さん、さっきはありがとうございました。材料もまとめて置いてくれたみたいで…」
「ううん。作ってもらうのに、それくらいどうってことないよ」
優希さんはわたしににっこり笑顔を見せると、突然わたしにお菓子の袋を手渡してきた。
「はい、これ。あげる。さっきスーパーで買ったんだ。麗美ちゃん、…なんか元気なかったから。甘いの食べて元気になってね」
「…ありがとうございます」
――やっぱりあのあとも心配してくれていたんだ。
あのあとも、今も、何も訊いてこなかったけれど、今でも優希さんはわたしのことを心配してくれている。彼のその気遣いに、わたしは心の底から感謝した。
お菓子のパッケージを見てみると、ポテチをチョコでコーティングされてるようなイメージ写真が載っている。
――え…チップスにチョコって合うのかな。
甘いのか、それともしょっぱいのか、そのどちらなのかはよくわからない。
「あとで食べてね」
「はい。あとでゆっくり頂きます」
なのに、兄ちゃんはまだ用があるのか、じっと黙ったままこちらを見つめてくる。
「な、何?」
「…いや、なんでもない」
兄ちゃんはリビングの扉を開けて廊下に出ると、こちらに振り返った。扉からひょっこりと顔だけ出して、兄ちゃんは言う。
「お前さ、なんか面白くないことあるんなら遠慮せず俺に言えよ」
……はい?
面白くないことって何…。
訳がわからない。
わたしは首を傾げた。
「どういう意味?」
「まあ、俺じゃなくてもいいし、母さんでもいいし。んー…、簡単に言うと、もっと人に頼れってことだ」
「……」
兄ちゃんはそのまま、リビングを出て行く。わたしは何も返せず、しばらく立ち尽くしていた。
***
わたしがカレーを煮込んでいると、優希さんと兄ちゃんが二階から下りてきた。
「美味しそうなカレーの匂いするから、待ちきれなくて来ちゃった」
「優希、こいつが作ったカレーにはな、きっと毒入ってるぞ」
「兄ちゃん、うっさい!」
「食ったら、死ぬぞ?」
「兄ちゃん!」
わたしは、兄ちゃんを力いっぱい冷たい目で睨んだ。
「ひ、ひどいね、誠二」と、優希さんは苦笑を浮かべる。
「あの優希さん、さっきはありがとうございました。材料もまとめて置いてくれたみたいで…」
「ううん。作ってもらうのに、それくらいどうってことないよ」
優希さんはわたしににっこり笑顔を見せると、突然わたしにお菓子の袋を手渡してきた。
「はい、これ。あげる。さっきスーパーで買ったんだ。麗美ちゃん、…なんか元気なかったから。甘いの食べて元気になってね」
「…ありがとうございます」
――やっぱりあのあとも心配してくれていたんだ。
あのあとも、今も、何も訊いてこなかったけれど、今でも優希さんはわたしのことを心配してくれている。彼のその気遣いに、わたしは心の底から感謝した。
お菓子のパッケージを見てみると、ポテチをチョコでコーティングされてるようなイメージ写真が載っている。
――え…チップスにチョコって合うのかな。
甘いのか、それともしょっぱいのか、そのどちらなのかはよくわからない。
「あとで食べてね」
「はい。あとでゆっくり頂きます」