Sweet Love
***
今日の空は、どんよりと怪しい曇り空を見せている。そのせいで、辺りはいつもより暗く感じた。
学校の正門を潜り抜けると、玄関前では、もう既にほとんどの生徒達が集まっていた。グループごとに分かれた生徒達を、先生方が点呼をとっている。
――失敗した。
もうちょっと早く出て来ればよかった。
「麗美、おはようー!」
先にわたしを見つけた裕子が、こちらに向かって大きく手を振る。わたしは彼女に向かって駆け出した。
「おはよう!」
「あっ、なんかあたし達、…格好似てるね」
そう言われてわたしは、自分の格好と裕子の格好をまじまじと見比べた。
「…あ、本当だね」
パーカーの色がグレーというのも、七分丈のパンツも、赤色のスニーカーまで彼女と被っている。
「す、すごいね、なんか…」
違いがあるとすれば、パンツの色ぐらいだろうか。何ともお見事なペアルックになってしまった。
「余程気が合うのかねえ…」
「ふふ。そうかもね」
やがて点呼の確認が終わると、生徒達が流れるようにバスへ移動する。元々学校前で待機していたバスだ。クラスごとに、わたし達もバスに乗り込む。どうやら座席順は特に決まっていないらしい。
「ねえ、一緒に座らない?」
「うんっ。いいよ」
裕子のお誘いを断るわけがない。わたしは、弾んだ声で頷いた。
全員がバスに乗ると、クラス代表の議長が車内の通路――前の方に立って、説明を始めた。
「まず、これからバスに乗って行き、現地まで移動します。えー、そこから二五キロほどある、山頂を目指します。山頂を目指している間はスタンプラリーをやりますので、必ず押してもらうようにしましょう。山頂に着いたあとですが、先生方が各地点にいますので順にお昼を摂るようにお願いします。体調が悪くなったり、何かあったときは近くの先生に言って下さい」
はーい、とクラスの気怠い返事が飛び交った。
今日の空は、どんよりと怪しい曇り空を見せている。そのせいで、辺りはいつもより暗く感じた。
学校の正門を潜り抜けると、玄関前では、もう既にほとんどの生徒達が集まっていた。グループごとに分かれた生徒達を、先生方が点呼をとっている。
――失敗した。
もうちょっと早く出て来ればよかった。
「麗美、おはようー!」
先にわたしを見つけた裕子が、こちらに向かって大きく手を振る。わたしは彼女に向かって駆け出した。
「おはよう!」
「あっ、なんかあたし達、…格好似てるね」
そう言われてわたしは、自分の格好と裕子の格好をまじまじと見比べた。
「…あ、本当だね」
パーカーの色がグレーというのも、七分丈のパンツも、赤色のスニーカーまで彼女と被っている。
「す、すごいね、なんか…」
違いがあるとすれば、パンツの色ぐらいだろうか。何ともお見事なペアルックになってしまった。
「余程気が合うのかねえ…」
「ふふ。そうかもね」
やがて点呼の確認が終わると、生徒達が流れるようにバスへ移動する。元々学校前で待機していたバスだ。クラスごとに、わたし達もバスに乗り込む。どうやら座席順は特に決まっていないらしい。
「ねえ、一緒に座らない?」
「うんっ。いいよ」
裕子のお誘いを断るわけがない。わたしは、弾んだ声で頷いた。
全員がバスに乗ると、クラス代表の議長が車内の通路――前の方に立って、説明を始めた。
「まず、これからバスに乗って行き、現地まで移動します。えー、そこから二五キロほどある、山頂を目指します。山頂を目指している間はスタンプラリーをやりますので、必ず押してもらうようにしましょう。山頂に着いたあとですが、先生方が各地点にいますので順にお昼を摂るようにお願いします。体調が悪くなったり、何かあったときは近くの先生に言って下さい」
はーい、とクラスの気怠い返事が飛び交った。