Sweet Love
「そんなことないよー! 優希先輩もかっこいいし」



 あーあ…。

 また目輝かして…。



「優希さんがかっこいいのはわかるんだけど、兄ちゃんはそれほどでもないよ」

「それは、麗美が妹だからでしょ? 他人が見たら誰だってかっこいいって思うよ」



 そうだろうか。兄ちゃんはやっぱり、兄ちゃんだ。


 妹のわたしから見るのと、他人から見るのとでは別物だし、その見方も変わってくる。きっとそういうことだろう。だからその言葉はどうしたって理解できない。



「あの二人が揃っているのを見ると、贅沢だなって思う。もし二人があたしに揃って告白してきたら、…多分気絶…いや、死んじゃう」



 ――なんか話がだんだんエスカレートしていってるような気がする。

 これはもう止まらないんじゃ…。



「裕子…」

「ん?」

「興奮しすぎ…」



 裕子は、はっと我に返った様子で固まる。だが、それは束の間だった。



「あー、ごめんごめん。これは言い過ぎだよね。でも今度麗美の家、遊びに行ってみたいなぁ。それでそれでー、お兄さんと仲良くなって――」



 ――あれ、だめだ。



 元の調子に戻ってしまい、仕方なく相槌を打つ。



「う、うん。…いいよ」



 わたしはもう苦笑するしかなかった。
< 68 / 199 >

この作品をシェア

pagetop