Sweet Love
「あら、そしたらいっぱい作らなくちゃね」



 ――うわっ…いきなりお母さんが乱入してきた…。


 優希さんは「はははっ」と照れ臭そうに笑いながら自分の後頭部を撫でた。



「お前、他に見たいところどっかあるか?」



 わたしは頷いて、



「じゃあちょっと中庭見に行ってみようかな。さっき通ったとき綺麗だったから写真撮りに行ってくる」

「わかった。じゃあ俺らそこら辺にいるから、気済んだら戻って来いよ」

「ん。わかった」



 そのあと、わたしは急いで中庭に向かった。


 中庭に着くと、とても立派な丈夫そうな桜の木が沢山並んでいた。満開ではないけれど、やはり近くで見ると綺麗だと思った。小さな蕾になっているものもあれば、三分咲きの花をつけているのもある。



「きれい……」



 そう思わず口に出してしまうほど、見惚れてしまう。



「ふふっ。撮ろっと」



 わたしは綺麗なものを見つけると、写真を撮る習性がある。


 まだ中学生だった頃、携帯というものを初めて与えられた。カメラ機能があると知ったとき、なんて優れた機能なのだろうと感動したのを覚えている。


 そこからだと思う。何か素敵なものを見つけると、撮るのが習慣になっていた。それがわたしのマイブームになっていた。



 ――うん、この眺め最高に綺麗。



 携帯を開くと、すぐさまカメラモードにした。


 わたしはベストな位置を決め、シャッターを押す。


 画面を確認していると、不意に後ろから、誰かがわたしの肩を叩いた。わたしは思わず反射的に飛び退いた。



「ひっ…」



 心臓の鼓動が早い。わたしは後ろに振り向いた。



「何やってるの?」



 この人は――。


 わたしと同じクラスの、…しかも後ろの席のさっきの男の子…。


 そうだ。さっきこの人に笑われたんだった。


 少し気まずい。その質問に、すぐには反応できなかった。
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