Sweet Love
「いや、あまり牧原とは恋愛の話はしない。でも多分、牧原のことだから、気づかない内にベタ惚れしてそうだけど」



 ベ、ベタ惚れ…。



「でもあの二人ならお似合いだよね、…きっと」



 萩原くんは深く頷いた。



「牧原って、誰にでも優しいからな。松田はきっと、その優しさに惹かれているのだと思う。…だってさ、牧原に対していつも冷たい口調だろ? 俺には控えめだけど、根本的に扱い方が違う」

「よく、…見てるんだね。二人のこと」

「だって、…友達だろ?」



 彼はニッと笑って、白い歯を見せた。大人びた表情が少し幼く見える。



「そうだよね」



 彼はやはり非常に洞察力がある。


 周りの友達のことをよく観察している。その証拠に、裕子と牧原くんのことをちゃんと理解している。普段から口数は少ない方だけれど、きっと友達想いなのだと思う。


 それに比べ、わたしは最近、自分のことで手一杯だった。彼を見習って、少しは周りにもっと目を配ろう。


 やがて、わたし達は目的地のゲーセンに入っていった。見渡す限り、ほとんどがわたし達と同じくらいの年代であろう若者で埋め尽くされている。屋外と違って、人が密集しすぎだ。



「ねえ、四人でプリクラ撮らないっ?」



 裕子の提案に賛同したわたし達は、プリクラコーナーに向かい、四人で記念すべき初のプリクラを撮った。
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