Sweet Love
朱菜ちゃんがゆっくりとこちらに歩み出す。
彼女は表情を崩すことなく、わたしに手を差し出してきた。
「…大丈夫ですか?」
わたしに敵意を抱いているはずなのに、どうして…?
不信感たっぷりの眼差しでわたしは彼女の様子を窺う。彼女の思惑がわからない。わたしは、戸惑いながらも朱菜ちゃんの手を借りて立ち上がる。
「あ、ありがとう」
「…よし行くぞ。遅くなっちまう」
「あ、うん」
「あの、これからお出掛けですか?」
突然、朱菜ちゃんがわたし達を呼び止めた。
――何か企んでいる…?
「…ああ。これから雑貨屋に用があって」
「もしかして、…駅前のところですか?」
「…そう、だが」
兄ちゃんは、困ったような表情で朱菜ちゃんとわたしの顔を交互に見てくる。
「よろしければ、わたしもご一緒させて下さい。わたしも見に行きたいと思ってたんです。一人で行くのは退屈なので、是非ご一緒させて頂ければ嬉しいのですが…」
そう言った朱菜ちゃんは、わたしをちらりと一瞥した。
朱菜ちゃんも、同行するの?
わたしは、居た堪れない気持ちになって俯いた。
「俺は、構わないが…」
顔を上げると兄ちゃんと視線が合う。
「あ、うん。…いいよ」
――いいよって言っちゃった…。
だって兄ちゃんが、…居たから。
この状況で断るのは不自然だろう。兄ちゃんが居る以上、断るのは無理だ。わたしには頷く選択肢しかなかった。
「それでは、…行きましょうか」
彼女は表情を崩すことなく、わたしに手を差し出してきた。
「…大丈夫ですか?」
わたしに敵意を抱いているはずなのに、どうして…?
不信感たっぷりの眼差しでわたしは彼女の様子を窺う。彼女の思惑がわからない。わたしは、戸惑いながらも朱菜ちゃんの手を借りて立ち上がる。
「あ、ありがとう」
「…よし行くぞ。遅くなっちまう」
「あ、うん」
「あの、これからお出掛けですか?」
突然、朱菜ちゃんがわたし達を呼び止めた。
――何か企んでいる…?
「…ああ。これから雑貨屋に用があって」
「もしかして、…駅前のところですか?」
「…そう、だが」
兄ちゃんは、困ったような表情で朱菜ちゃんとわたしの顔を交互に見てくる。
「よろしければ、わたしもご一緒させて下さい。わたしも見に行きたいと思ってたんです。一人で行くのは退屈なので、是非ご一緒させて頂ければ嬉しいのですが…」
そう言った朱菜ちゃんは、わたしをちらりと一瞥した。
朱菜ちゃんも、同行するの?
わたしは、居た堪れない気持ちになって俯いた。
「俺は、構わないが…」
顔を上げると兄ちゃんと視線が合う。
「あ、うん。…いいよ」
――いいよって言っちゃった…。
だって兄ちゃんが、…居たから。
この状況で断るのは不自然だろう。兄ちゃんが居る以上、断るのは無理だ。わたしには頷く選択肢しかなかった。
「それでは、…行きましょうか」