Sweet Love
高校から坂を下る途中にバスの停留所があり、そこを越えてしばらく歩いていくと、駅前通りに出る。雑貨屋さんは、その駅前通り沿いにある。
わたしは、まだその雑貨屋さんに足を運んだことがない。普段バスに乗って帰るから、寄る機会がないのだ。
目的地へと向かう最中、兄ちゃんを先頭に、わたしと朱菜ちゃんはその後ろを並んで歩いていた。
現状、ものすごく気まずい。兄ちゃんはさっきから黙り込んだままだし、スタスタ一人で歩いて行っちゃうし、最悪だ。それに、彼女の行動そのものが理解できない。
沈黙が続く中、彼女が唐突に口を開いた。
「石田さん。雑貨屋さんにはどんなご用事で?」
「あ、あの、もう少しでお母さんの誕生日だから、そこで兄ちゃんと一緒に買おうってことになってて…」
朱菜ちゃんはクスっと笑いながら、口に手を添えた。今時の若者の笑い方とは思えない、上品な笑い方だ。
「あそこには、色々な物が揃っていますからね。わたし、よくあそこに行くことあるんですよ。翔くんと帰り道によく行ってました」
「そう、なんだ…」
「そんな顔しないで下さい。もう別れたんですから。…石田さん、あれから翔くんとどうですか?」
…どうって言われても…。
「……何もないよ」
つまらなそうな顔をしながら朱菜ちゃんは「そう」、と言った。
わたしは、まだその雑貨屋さんに足を運んだことがない。普段バスに乗って帰るから、寄る機会がないのだ。
目的地へと向かう最中、兄ちゃんを先頭に、わたしと朱菜ちゃんはその後ろを並んで歩いていた。
現状、ものすごく気まずい。兄ちゃんはさっきから黙り込んだままだし、スタスタ一人で歩いて行っちゃうし、最悪だ。それに、彼女の行動そのものが理解できない。
沈黙が続く中、彼女が唐突に口を開いた。
「石田さん。雑貨屋さんにはどんなご用事で?」
「あ、あの、もう少しでお母さんの誕生日だから、そこで兄ちゃんと一緒に買おうってことになってて…」
朱菜ちゃんはクスっと笑いながら、口に手を添えた。今時の若者の笑い方とは思えない、上品な笑い方だ。
「あそこには、色々な物が揃っていますからね。わたし、よくあそこに行くことあるんですよ。翔くんと帰り道によく行ってました」
「そう、なんだ…」
「そんな顔しないで下さい。もう別れたんですから。…石田さん、あれから翔くんとどうですか?」
…どうって言われても…。
「……何もないよ」
つまらなそうな顔をしながら朱菜ちゃんは「そう」、と言った。