Sweet Love
 あれから雑貨屋さんに入ると、なかなかの広さと豊富な品揃えにわたしは驚いた。ざっと見る限り、インテリア小物、生活雑貨、アロマや、キャンドルなど様々なものが置いてある。髪留めやピアスなんかも置いてあった。



「わたし、ちょっとあっち見てきますね」

「…あ、うん」



 そう言って、朱菜ちゃんは奥に消えて行った。



「…おい」



 兄ちゃんがわたしの腕を肘で小突く。



「何?」

「さっきのやつ…、何かよそよそしくなかったか? 本当にお前の友達なの?」



 …兄ちゃんって、意外と勘鋭いかも。



「……友達だよ。クラス違うけどね」



 まだ友達とまでは言えないかも知れないけど、まぁ今はとりあえずそういうことにしておく。



「本当か? …今、少し間があったぞ」



 兄ちゃんは眉間に皺を寄せ、こちらの顔を心配そうに覗き込んだ。



「本当に。兄ちゃんが心配するようなことでもないよ」

「…そうか?」

「うん。だからもう、学校であんな呼び方しないでよね。恥ずかしいんだから…。誰が聞いてるかわからないんだからっ」

「ハイハイ」



 兄ちゃんは背中を向け、一人で歩き出してしまう。肝心なところで知らんぷりするのは、兄ちゃんの昔からの悪い癖だ。



 …ハイ、ハイって、すごっい適当なんだから。



「…兄ちゃん、プレゼントどうする?」

「うーん。…癒し系とか? 最近疲れてるみたいだし…」

「癒し、か…。バスグッズとかは? 入浴剤とか、香りがいいものとか…」

「…いいねえ。じゃあそれと、…花渡すか。花は俺が当日買うから」

「うん」
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