最低男子
俺は、ダメだとわかりながらも…紗菜の髪をかき分けて耳に掛けた。
可愛い寝顔だった。
なぜ、早くこいつの良さに気付かなかっただろう…
酷い事を山ほど言って…傷つけて、たくさん、泣かせた、あの頃。
そんな、自分を殴ってやりたい。
今、そんな事を言っても…届かないけど…
「好きだよ」
と、
お酒の力も借りながら呟いた。
すると紗菜は、聞こえていたのかわからないけど…体を俺の方に向けた。
「可愛いな」
一人で呟き、キモいやつだった。
一瞬、客観的に自分を見てしまい落ち込んだ。