最低男子
次の日ー
起きると、紗菜は既に起きていた。
それに、昨日繋いだ手は離れていた。
やはり、紗菜が俺の手に触れてきたのは無意識だったんだろう。
帰りたそうな顔をしていた。
むしろ、早く帰って欲しい。
このままいたら、理性を失いそうだった。
それで、紗菜はまた俺を嫌いになる。
明日からも、バイトで顔を合わせるし…気まずくなるのは勘弁。
このまま、優しくしても…好きになるだけだから、俺は追い出す様に紗菜に言った。
「お前、何時に帰るの?」
『もうすぐ帰るよ』
「ここから駅までわかるでしょ?」
『うん』
「じゃまたな」
と、
言って俺は紗菜を見送る事なく寝たフリをした。
いつまでも、酷い男で申し訳ない。
そんな俺を、許してください。
少し経った後、玄関が閉まった音が聞こえ、俺は「ごめんな」と一言のように呟いた。