浅葱の贖罪
惣次郎に何も出来なかったことを悔やみ、ただ無心で木刀を振っていると、
「勝太さん。今日はぶれていますよ。」
凜とした葉月の声だった。

「お前、分かるのか?」

「はい。剣術には全く詳しくないんですけどね…。」
少し照れたように言った。
「だったら、何故…」

葉月は少し不思議な顔をした。
「あれ?気づいていませんでしたか?私、いつも勝太さんの稽古向こうで見ているんです。」

そう言って葉月は庭を指差した。そこを目で追いやると物干し竿が目に入った。
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