浅葱の贖罪
「惣次郎、剣術に興味はないか?」
私は向かい合って惣次郎と話した。

惣次郎は私の言葉に、目を輝かせたが、すぐにうつむいて言った
「私は、お世話になっている身です。だから…」

やはり、そう言うか、だが、今日の私はしつこいぞ。
「だから何だ?私は、剣術に興味はないか?と聞いたのだ。」

「興味はあります。ずっと、皆さんの稽古をみてきましたから。」
惣次郎はずっと、我慢していたのだろうな。何も言えず、ずっと…。

「そうか、では、明日の巳の刻、道場へ来い。稽古をつけてやる。」

惣次郎は嬉しそうな顔をしたが、
「私にはそのようなことをする時間はございません。」
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