浅葱の贖罪
あの年の私は19歳である。

私は、ちょうど一昨年、天然理心流という流派を修める試衛館に入門したばかりであった。

私は豪農の四男坊で昔からそれほど苦労を知らなかった。

だが、父は私を清く正しく強い男にするために、剣術や三国志、他、様々な戦史を教えこんだ。

私もそれは嫌いではない。

そのため、約2年前、試衛館に入門した時は毎日が、楽しく、剣の世界にのめり込んでいき、実力をつけていった。

そして、昨年、嶋崎家の養子にとられ、身分としては、帯刀や、名字を名乗ることを許される。

この後に、私は道場長の近藤氏の養子にとられることが決まり、胸踊る気持ちであったのだ。


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