君がいたから~私が決めたこと~


side ~慣生~


chatにそんなことがあったのに
私はchatに無理矢理聞き出そうとした。

苦しんでいたかもしれないchatを…。


「慣生はさっき『私は...chatの事何も知らない』っていった」
「だって何も知らないから…」
「慣生、よく聞いて。何も知らなくないでしょ?」
「どういうこと?」
私が知ってるchatって…?
私が知ってるのは、chatには記憶がないという記憶があることと
男の子ということ。
心が読めるかもしれないということだけ。

「僕が怖がりってことも、理屈的なところがあるところも、慣生を励まそうとしてここに連れてくる優しさがあるところも、かわいいものにはそこまで興味がないところも知ってる」
「3個目はおかしい…」
「それでも知ってるだろ?」
「…」
「知らないなんてことはないよ。いつだって新しい情報は手に入る。いつもの自然な会話だけで」
いつだってchatは私の心を見透かしたように言う。

「ごめんな」
「何が?」
「泣かせるつもりはなかった」
「え?」
私…泣いてるの?
あわてて目元をさわる。

「濡れてる…」
「気づいてなかったの?」
気づかなかった。

「何で、私泣いてるんだろう…」
「Mなの?」
「そんなわけないでしょ」
「そうなの?」
「当たり前」
「じゃあ、泣くほど嫌だったの?」
「違うよ、違う」
「?」
私は、嬉しかったんだ。
私を理解してくれる人、私のことをみてくれる人。
そんな人いなかった。

親にさえ見捨てられた私をchatは理解してくれる。


「慣生」
そういう風に呼ぶ声、最初は嫌いだった。
でも今は…

「なに?」
「泣き止んだね」
「うるさいよ」
「この後はどうしようか」
「観覧車降りてから?」
「違う違う。あ、じゃあねぇ~」
何か嫌な予感しかしない…

「慣生!」
「!?」
「捕まれ!」
その瞬間揺れる観覧車。

「いやぁ!!!!!!怖い怖い!!」
「すんごい叫んでるね!」
「なに笑ってんの!止めて‼」
「えぇー」
そして…

「大変危険ですので、車内では暴れないでください。」
放送がかかり、chatは揺らすのをやめた。




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