君がいたから~私が決めたこと~
そこまで考えてくれてるなんて思わなかった。
「chat、ありがとう」
「別にいいよ。だけど慣生、言いたいことがあるんだったらちゃんと言って」
「うん、わかった」
「で?」
「私は...chatの事何も知らない。もう会ってから4ヶ月も経つのに」
そう。私が知っているのはハーフってことと
マンションの24階に住んでること、
毎日昼間の3時間くらい用事があることくらい。
何歳なのか、いつが誕生日なのか、家族はどうしたのか、一人暮らしなのか...。
謎ばかり。
「慣生は何も知らなくないよ、僕の名前を知ってる」
「でも、名前だけ」
「じゃあ、慣生は知りたいの?」
考えたことがなかった。
知らないとしか思ったことがなかった。
「慣生、次はどこ行こうか」
「...水族館以外がいい」
聞かれたくないのかな。
ただそれだけを考えてた。
キャーーーーーーー
「うわぁぁぁ!!」
「涼しいーー!」
ジェットコースター。
降りるとchatはトイレに駆け込んだ。
ウシロヲミテ...
「ただの機械じゃん」
「いやぁぁぁ!!」
「慣生!?」
お化け屋敷。
出ると目が腫れた。
「これからかわいい!」
「慣生が盛り上がってるのってなかなかないね」
「だって!可愛くない!?私、これ買う!」
お土産屋さん。
大きな白熊を買った。
「次はどこ行くの??」
日は暮れてしまった。
そろそろ帰らないと行けなくなる時間。
「うーん...じゃあ、観覧車乗ろう。」
「高いところ...か」
「やだ?」
あの時は辛いがために我を忘れていた。
自殺しようとしたやつの言葉ではないけど、私は高所恐怖症。
でもここで断ったら、何かが終わる気がする。
だから...
「乗りたい。今なら、きっと綺麗な夜景が見えるよ」
「そうだね、じゃあ行こ」
「お客様は2名様で宜しいですか?」
「はい」
「では、次のドアにお乗り下さい」
ドアが迫ってくる。
扉が空いて、中に入る。