ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく
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東和田市の街外れにある俺の家。ガラス張りの大きな窓に吹き抜けの高い天井。シアタールームや地下にはワインセラーもあって一般的にはとても裕福な家庭に育った。
親父の職業は医者。地方から評判を聞きつけて受診するほどその腕は確かで、総合病院の脳外科医をしている。
母さんの職業は教師。頭のいい私立の女子高で音楽を教えていて、母さんが弾くピアノが小さい頃からの子守唄だった。
『世那、おやつの時間よー!』
休日になると決まってリビングには揚げドーナツの匂いがする。粉砂糖をたっぷりかけて熱々のドーナツにかぶりつく瞬間は至福のときだった。
そして食べ終わったあとは親父の膝の上で本を読んでもらう。外国のとても難しい本で内容は理解できなかったけど、それでも楽しかった。
そんな幸せな時間は幼稚園まで。
小学校に入ると英才教育と呼べるほど立派なものじゃないけど、習い事や将来に役立つとされるものはなんでも習わされた。
最初の頃はどれも楽しくて、上手くできた時や良い結果がでた時は本当に嬉しかった。なりより俺は両親に褒められたかった。