ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく
その日を境に俺は人生最大の反抗期を迎えた。
髪の毛を染めてピアスも開けた。学校で怖いと噂の不良の先輩と仲良くなって、その繋がりから悪い友達ばかりが増えていった。
『世那~!今日も遊びに行くでしょ?』
この安田梓という同級生もそのひとり。
俺と同じで家に帰りたくない事情があるらしく、夜遊びをする仲間のひとりだった。中学2年生になってファーストフードしか食べてないくせに日に日に体はでかくなって、同じ学校の生徒からは怖がられるようになっていた。
『世那、またここにいたんだ』
『いちいち付いてくんじゃねーよ』
『だって……』
俺を孤独から救ってくれた去年のクラスメイトたちは俺が変わってからは話しかけてこなかった。それでも俺はひとりじゃない。
こうして屋上で授業をサボっていると安田が決まって一緒にサボりたいと言うし、学校が終わればまた夜の街に出掛ける。
『世那は今日だれの家に泊まるの?』
『たぶん岡田ん家』
岡田とは他校の友達。母子家庭で母親は夜の仕事をしてるから俺的には一番泊まりに行きやすい家だった。
『ふーん。じゃあ私も岡田の家に泊まろうかな』
『襲われるぞ』
『え!世那に?』
『バカ。お前になんて興味ねーよ』
安田が俺に対して恋心を抱いていたことは知っていた。だけど恋愛は勉強よりも面倒だと周りを見て学んでいたから、したいとは思わなかった。