ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく
身長も体格も俺のほうがでかいはずなのに、敵わないぐらいの威圧感。幼い子どものように胸がバクバクした。
『……っ!』
親父と目が合って、言葉を交わす前にまた拳が飛んできた。バコッと鈍い音が響いたけれど今度は倒れなかった。
『この親不幸者!』
それが親父の第一声。
髪を染めてピアスを開けて夜な夜な遊びまくってる俺をゴミクズのように見る目。
『もう学校には行かなくていい。卒業するまでずっと家にいなさい』
『は?』
意味が分からなかった。すると親父はカバンからなにかを取り出して俺の前に投げる。
『高校はここに行きなさい。父さんと同じところだ。学校には行かなくていいから受験が終わるまでお前には家庭教師を付ける』
『俺を監禁する気かよ?』
『今ならまだ間に合う。今やり直せばちゃんと将来立派な人になれるから』
また吐き気がした。
なにも分かってない。なにも変わってない。
そのすべてにうんざりだ。
選択肢の多い高校に進んで、いい大学に行けば、いい人間になれる。そして人よりも優れていればお金を稼げて結果、幸せになれるという両親の法則。
もう、なにもかもがイヤだった。