ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく
6: 真実の行方
結局俺は逃げるようにまた家を飛び出して仲間たちと一緒にいた。季節は夏。夜なのにどんよりと蒸し暑くて俺は炭酸を一気に口の中へと流し込んだ。
『どうしたの?その顔のキズ』
公園では他校の不良仲間や学校の先輩たちがいつものようにバカ騒ぎをしていた。スマホで音楽を流して恋の話や下ネタ。そして夏休みの予定を楽しそうに話している。
俺はそれを遠めで見ながらベンチに座っていた。そこへ安田がやってきて俺の殴られた箇所を見つめている。
『べつに』
素っ気なく返事をして空き缶をゴミ箱へと投げ捨てた。
『世那はなにも話してくれないよね』
安田は長い足を組み換えて少し寂しそうな声を出した。
『俺たちそんな関係でもねーだろ』
『それはそうだけど……』
俺が自分のことを話さないのは安田に限ってのことじゃない。この毎日遊んでる不良仲間や家に泊めてくれる友達でさえも、俺は自分のことを話したことはない。
話せばきっとみんなが口を揃えて『そんな親最低だよ。子どもは親の所有物じゃない!』って俺の味方をしてくれるだろう。
でもそれを求めているわけじゃない。俺はただあの家と切り離せる場所がほしいだけ。なにも考えずバカなことをしていれば、その瞬間だけはなにもかも忘れられたから。