ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく
そして学校が終わって家に着いた私はリビングにいた。いつもなら真っ先に自分の部屋へと上がるのに今日は玄関から一直線にここへと足が向いた。
2年前、毎日毎日ここから両親の怒鳴り合う声を聞いてた。それで最初に力が目覚めたのもこの場所。
だけど力は使わない。
触れなくても、知る方法はある。
暫くしてガチャッとリビングのドアが開いた。
そこから母……いや、お母さんが中に入ってきて目と目が合う。
「莉津……」
お母さんが再婚するかもしれないと知ったあの日から私は今まで以上にずっとその存在を避け続けてきた。
いつもゆっくりと階段をのぼってきて私の部屋の前で止まる。私はそれをドア越しで感じながらも絶対に向き合うことはしなかった。
だけど逃げるのはもう終わりだ。
ちゃんと言葉にする。聞きたいこと。言いたいこと。そして知りたいことを。
「……お母さんには今大切な人がいるよね?それは2年前の人と同じ?」
何故そのことを知っているんだろうという顔で、一瞬表情が固まった。だけどお母さんも離婚の原因が浮気だと私に知られてしまってることには薄々気づいていたはず。
その後ろめたさがあったから、私に対しても強引にその距離を詰めることができなかったんだと思う。