ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく

するとお母さんはゆっくりと首を横に振った。

「ううん。その人との関係は随分前に終わりにした。今は連絡先も知らないし会ってもない」

「じゃあ……今の人は?その人と結婚するつもりなの?」

聞きたいことはすべて聞くと決めた。お母さんもそれに応えるように私の目を反らしたりしない。


「莉津が見つけた婚姻届は間違った時のためにずっと昔に貰ってきたものだから本当に違うの。莉津に黙って再婚したりしないからそれは信じて」

「……でも再婚を考えてる人がいるのは事実でしょ?」

「うん」

あの時お母さんは今度は間違わないように慎重に話し合って、時期がきたら私にも話そうとしてたって言ってた。

これは私にとって無関係な話じゃない。だってお母さんが再婚したらその人は……。


「莉津、会ってほしい。私たちの気持ちとこれからのことを莉津と一緒に話したい。だから莉津……」

「いいよ」

「え……?」

「会っても、いいよ」

話を聞かなきゃなにも始まらない。それも私がずっと逃げてきたことだ。
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