ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく

「ま、待って。意味が分からないんだけど……」

頭を整理させようとしてもそれが追いつかない。そんな私を見てお父さんは膝を床につけて頭を下げた。


「莉津。本当にすまない。お前には本当に本当に悪いことをしてしまった」

深く深く、床に埋もれるんじゃないかってぐらいお父さんは私に頭を下げ続けている。

「ちょっとそんな……」

慌てて止めようとすると、今度はお母さんが床に膝をつけた。


「莉津。私たちずっと話し合ってたの。2年前はお互いに家庭のストレスから違う人と会ったりしてそれが原因で離婚して。だけどすぐに過ちに気づいて、ずっとずっと話し合ってたのよ」

じゃあ、お母さんがずっとコソコソと連絡を取り合ってたのはお父さんだったってこと?

いや、それでもまだ私はモヤモヤとしている。


「だって私……見たよ。お父さんが街で女の人と歩いているところ」

だから私たちを捨てたくせに浮気相手の人と楽しくやってるんだって憎悪まで芽生えていたのに。

「それは弁護士の人だよ。ずっと相談に乗ってもらってたんだ。一度離婚した人が復縁をするにはどうすればいいのかって」

……復縁。

それは私の中にはなかった言葉で今まで両親には離婚や浮気というイヤなイメージしかなかったから。
< 141 / 152 >

この作品をシェア

pagetop