ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく
「ずっと莉津に謝ろうと思ってた。それで許されるわけがないって分かっているけど……」
「だから私に何度も連絡してきたの?」
お父さんは静かに頷いた。
やっと頭の整理が追いついてきた。ずっと勘違いしてたこと。想像すらしてなかったこと。だけど今の素直は感情は真実を知れてよかったってことだけ。
「2年前はたしかにお互い浮気をした。それは間違いない。だから簡単に莉津に許してもらおうとは思ってない」
お父さんが私を見つめる。その隣でお母さんも。
「私たちの身勝手で莉津を振り回してごめんなさい。これからはゆっくり時間をかけて莉津とも話し合っていきたい」
大人って私から見たらすごい大きな存在に見えていて、親なんて特にそう。
目を瞑っていても親が引っ張ってくれる道なら間違いないんじゃないかって疑うことすらしなくて。そのぐらい親は完璧な存在だって思ってた。
だけど違う。
完璧な人なんていない。
だから純粋で綺麗なだけの心を持ってる人もいないんだよ。きっと。
みんな必ず弱点はあるし過ちも犯すし失敗もする。魔が差して心に悪魔を飼うことだってある。
だけどそれが汚いってことじゃないと思う。
世の中が綺麗じゃないのは、みんなひとりじゃ生きていけないから。支え合わないと倒れてしまうような弱さを持っているのが人間だから。