ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく


それから数日が経って、いつものアラームで私は目が覚めた。リビングに向かうと卵焼きとウインナーのいい匂い。

「莉津。マーガリンないからパンはジャムで我慢してね」

あれからお母さんとは毎日朝食を一緒に食べて、晩ごはんも必ず向かい合って食べると決めた。


「あれ?お弁当いらないって言ったのに」

「嬉しくて作りすぎちゃって」

「お父さんに持ってくの?」

「うん。仕事に向かう前に取りにくるって」

お父さんとはまだ一緒に暮らす予定はない。焦らずにゆっくりとって話し合って決めたし、徐々に家族の形に戻っていけたらいいなって思う。

私はお母さんが作ってくれたお弁当をカバンに入れて玄関のドアを開けた。

「いってきまーす!」

家族と和解できたことを詩月にメールで伝えた。長い文章は得意じゃないから短く簡潔に。

そしたら詩月も短く【よかったね】と返事をくれて、それだけかよって思ったけどメールはそこで終わってしまった。
< 144 / 152 >

この作品をシェア

pagetop