ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく

私はそっと自分の右手を見つめた。

両親の本当の気持ちを知って、私が力ではなく言葉だけで知ろうとしたあの日以来、私の力は消えてしまった。

『許すよ』と両親の肩に触れた時点で、もうなにも流れてこなかった。力がいつどこで消えたのか。それは正確には分からない。

だけど消えたのではなく、きっと必要なくなったんだ。

だから自然と消滅してしまったんだと私は勝手に思っている。

今日も学校は騒がしい。とくに昼休みはあちらこちらで楽しそうな声が響いている。そんな中でクラスメイトたちと一緒にお弁当を広げて、12時45分になるとみんながスピーカーに耳を傾けた。

今日は水曜日。

カチッと校内放送のスイッチが入ると、心地いい声が校内に流れた。

『皆さんこんにちは。水曜日のなんでも相談コーナーの時間です』

一時(いっとき)はあんなに相談用紙が激減していたのにまた詩月は人気を取り戻して、いつも投稿ボックスには沢山の紙が入っている。

毎回大変そうだなって思うけど、放送室に向かう詩月の顔はいつも笑顔で、どうやら楽しくやっているらしい。
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