ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく

「ねえ、そのネイル可愛い!どこでやったの?」

「彼氏イケメンで超羨ましい」

「なあ、ちょっとだけ金貸してくれない?俺たち親友じゃん」

今日も教室ではたくさんの嘘が飛び交っている。どうしてみんな心で思うことと口から出る言葉は別物なのだろうか。

「詩月ってなんで彼女作らないの?」

私が他者との交流を遮断してる中でも、詩月の周りには人が集まる。

「あれ?知らない?俺他校にいっぱい彼女いるよ」

「あはは!じゃあ私もそのひとりに入れてよ!
夏休み遊びたいしさー」

そんな中身のない会話を繰り返して、詩月はやっぱりずっと笑っている。

廊下ではあんなにしつこかったのに教室に入って授業が始まっていつもの日常になると、詩月は私に近づいてこなかった。

私的にはホッとしてるけど、詩月が諦めていないことは分かっている。案の定、私はその日の昼休みに詩月に呼び出された。

『詳しく話したいから屋上にきて』とすれ違い様に言われて。行きたくなかったけど私にも大きな声で言ってほしくないデメリットがあるから、仕方なく不本意だけど屋上に行くことにした。
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