ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく

さて、どうしようか。

面倒ごとには巻きこまれたくないし、詩月とは友達でもなんでもない。ここで断っても罪悪感なんて芽生えないし、詩月の記憶なんて私には関係ない。

それに力のことだってまだ肯定してないし詳しく教えたわけでもないのに、そのすがるような瞳。

そんなに私を信用して赤裸々に打ち明けて。「力なんてあるわけないじゃん。漫画の読みすぎじゃない?」なんてあざ笑ってやるつもりが、とてもそんなことを言えない雰囲気。

後ろから感じる詩月の視線。

……重たいなあ、とため息まじりに目線をずらすと中庭で例の末次が学年主任の先生となぜか草むしりをしていた。

しかもその隣には末次が勝手に妬んでいる友達の姿も。


そういえばあの先生って大の掃除好きで、いつも温厚なのに掃除をサボったりするとやばいくらいキレるって有名だっけ。

学年主任だし教師の中でも地位は上のほうだし。ああやって草むしりを手伝えば成績や内申点になにかしらの得があるんだろうか。

それにしても、こうして見るとあの友達も友達だなって思う。『末次には敵わないよ』って言ってたくせに先生にはしっかり取り入っているし。

そんなことを考えながら隣を見るといつの間にか詩月が並んでいて、同じように炎天下で草むしりをする光景をぼんやりと見ていた。
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