ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく
――『ねえ、これなに?今日は楽しかったってメールが届いてるけど』
『お前なに勝手に見てんだよ』
『答えてよ。今日だけじゃないでしょ?最近帰りが遅いのはこの子と会ってるからなんでしょ?私がご飯を作ったり家のことをしてる間に浮気なんて最低ね』
『は?それを言うならお前もだろ!』
『……なんのことよ?』
『とぼけるなよ。会社の同僚が昼間にお前が若い男と歩いてるの見たって。弟さんですか?なんて聞かれて、とりあえず誤魔化したけどそいつは誰なんだよ』
『そ、それは……友達よ』
『友達?そんな言い訳が通用すると思ってんのか?よく平然と俺だけを責められるよな。最低なのはお前だろ』
『あなたが先に浮気したんでしょ!私はずっと我慢してたのよ。作りたくないご飯も作って、あなたの分の洗濯や身の回りのこともして。もう息が詰まるのよ!!』
その頭に直接叩きつけられる映像と、なぜこんなものが見えてしまったのかって恐怖心で腰を抜かしたことは今でもはっきりと覚えてる。
触れた右手がまだビリビリとしていて、ずっと震えが止まらなかった。
それから何かに触れる度に奇妙なものが見えるようになって、使い方も見える定義もなんとなく分かるようになった。
だからどんどん〝知りたい〟って気持ちが止まらなくなった。好奇心というよりは、かやの外にいる自分が嫌だったから。