ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく


次の日。朝から気温は一気に上がって、セミがうるさく鳴いていた。

みんなYシャツを第二ボタンまで開けて、パタパタと教科書で風を作っている中、やっぱりクラスメイトたちの中心にいるのは詩月。


「みんなで計画立てて海とか行こうよー!」

女子は予定で埋め尽くされた手帳を広げて、男子は水着美女をナンパすると意気込んでいる。

「俺泳げないかなあ」

「えーまじで?」

「はは、嘘嘘」

詩月は冗談を言いながら海に行くという約束をあっさりと流す。周りの人たちも気づかないくらい詩月は話をすり替えるのが上手い。

――『俺、ずっと空っぽなんだよ』

そう打ち明けた詩月が夢のように、みんな詩月を求めてるし慕われている。

きっと詩月は本当の自分が分からないから何色にでもなれるんだと思う。だって人は積み上げてきたものを簡単に壊すことはできないから。

だから私は土台なんてめちゃくちゃな積み木の上にいて、そこでゆらゆらとバランスを取りながら毎日怯えている。


「で?なんで私がまたここに来なきゃいけないの?」

その日の昼休み。
 
急に【放送室に集合】なんて可愛い絵文字付きでメールが届いて。昨日詩月の家で連絡先を交換したことなんてすっかり忘れていたから少しビックリした。

「だって教室で話しかけたら怒るだろ。羽柴と話せるのって昼休みか放課後ぐらいしかないじゃん」

怒るというか、困る。それは私に限らず詩月もだと思うけど。
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