ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく
すると、男の子は真っ青な顔をして私を睨む。
「あ、あんなヤツ知らない……!!」
「ちょっと待って……」
また逃げようとする男の子の手をとっさに掴んでしまった。
またビリビリとする感覚。男の子の思念が容赦なく私の中に入ってくる。
――ここはどこだろう。
薄暗いビルとビルの間。飲食店のゴミ置き場になっているのだろうか。すごく汚くてすごく暗い場所。
高笑いしている黒い学ランを着た男たち。
ジリジリと薄笑いを浮かべて、距離を縮めてくる。
『お前、昨日頼んだ金ちゃんと持ってきた?』
心臓がドクドクとうるさい。
これは恐怖だ。
『もうお金は用意できない。だからもうこんなことは……』
『はあ?』
高圧的な声。お金を断ると次は右から左、そしてみぞおちに男たちの拳や蹴りが体を痛めつける。
『もうやめて……やめてください!』
いくら叫んでも止まらない。
痛い。苦しい。だれか。
『なあ、こいつどうする?金もないとか言ってるけど』
男たちは少し離れた場所で見ているだけだったひとりの男子に問いかける。このグループのリーダーなのだろうか。
気だるい顔をしてスマホをカチカチといじって、少しだけこちらを見る。
『助けてください。お願いします……』
汚い道路に顔を付けながら必死で声を出した。
『興味ない。勝手にやれば』
まるで他人ごとのように吐き捨てて、その人はビルの影に消えていく。
その遠くなる後ろ姿を見つめながら、絶望の中に落ちた。