ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく
公園内にある見晴らしのいい場所に行って、そこから見える海をぼんやりと眺める。
多分だけど、これは私の勘だけど……あの子は詩月のことが好きだったんじゃないかって勝手に想像した。
そんな男の子が久しぶりに目の前に現れたのに自分のことを忘れていて、しかも見知らぬ女連れで。
まあ、いい気分はしないね。確実に。
暫くして、ふたつの足音が後ろから近づいてきた。私は気づいていたけどあえて知らん顔をして、詩月の呼びかけでようやく振り向いた。
「羽柴お待たせ」
その顔はスッキリしているのか、それとも消化不良なのか。やっぱり私は力に頼らないと読み取る能力はない。
ふたりがなにを話していたのか分からないまま、安田さんが「駅まで見送らせて」と言って3人で駅に向かうことになった。
その間、詩月はペラペラとよく喋る。南中の校門にいた時は借りてきた猫みたいだったのに。
いつの間にか安田さんのことも〝安田〟と呼んでいて。きっとそう呼ぶように言われたんだろうけど、どうも私は居心地がわるい。
ポケットに入っていた飴を投げるように口に入れると、甘ったるい苺の味が鼻を通り抜けた。
「……梓?」
と、その時。反対斜線の歩道を歩いていた女の子が声をかけてきた。