ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく

「……ねえ」

気がつくと安田さんが戻ってきていた。

友達との話は終わったんだろうか。ってか今のって私に話しかけたのかな。詩月はまだ帰ってきてないけど……。


「あなたって世那の彼女?」

思わず飴を喉に詰まらせるところだった。

「え、違うけど……」

「でも親しい関係なの?」

「………」

まさかこんな展開になるなんて考えてなかった。しかも人との関わりを避けてきた私にとって、頭に浮かぶ言葉の選択肢が少なすぎる。

こういうのって笑ったほうがいいの?それとも私も質問で返したほうがいいの?

……ああ、本当に苦手だ。


「なんか勘違いしてるみたいだけど詩月とは高校のクラスメイトでそれ以上もそれ以下も……」

せっかく当たり障りのない返事をしてるのに、
タイミングわるく駅に響くアナウンスで私の声はかき消された。

「羽柴!あと5分で電車くるよ!」

人混みに紛れて詩月の姿が見えた。

……助かった。女子同士の恋愛絡みの話は私には合わないというか、どうしたらいいのか分からない。

「は、羽柴さん」

改札口を通ろうとした私の服を安田さんが掴む。


「……お願いがあるんだけど」

それはとても小さな声で。
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